佐久間トーボが語る「奥田民生」
土曜日は名古屋にてジャイアンナイトfeat.UNICORNでございました。
改めて良い曲が多いことを感じながら、世界で一番大好きなアーティスト奥田民生に思いを馳せたのでございます。
僕が民生さんに出会ったのは1994年、ちょうど民生さんがユニコーンを解散して休養し、ソロで始動した時の事。
その時僕は茨城県の鼻たらし小学生で、ダウンタウンと阪神タイガースに心奪われる日々でありました。
民生さんの曲を初めて聞いたのは近所の床屋。
この床屋はおじさんとそのおじさんの娘である姉妹二人で切り盛りするお店で、特に理由があった訳ではなかったのだけど、家から近いという理由だけで行きつけにしていた。
いま思い出すととても美人なこの姉妹、お姉ちゃんの方はとても愛想がよく、小学生の僕にも色々と話しかけてくれる人だったのだけど、妹の方はクールというか、事務的なこと以外は何も話さない人だった。
でもそんな所が素敵だなあ、とちんちんに毛も生えていない僕は好意的に思っていた。
ある時のこと、いつもの様に妹さんの方に髪を切ってもらっていると、有線から音楽が流れてきた。
すると、それまで無表情で髪を切っていた妹さんが、少し笑顔になり、その歌を口ずさんだのだ。
僕はとてもびっくりして、「この歌好きなの?」と聞くと、妹さんは「うん」と照れた様に笑った。
「隣の席ではふけた男が/さんざん絡んで人生語る/どっかで聞いた事ある話だ/思えばあいつは昨日も来てる」
物語仕立てで始まるこの歌は小学生の僕にも分かりやすく、家に帰ってからもずっとこの歌の事が頭から離れなかった。
それから少し経ち、ダウンタウンっ子だった僕はいつもの様に「HEY!HEY!HEY!」を見ていたら、あの妹さんが笑った歌を歌っている人が出てきた。
それが奥田民生さんとの出会い。
次の日母親とレンタルCDショップに行って、その歌「愛のために」を初めて自分のお金で借りた。
それからはもうずっと奥田民生さんに夢中だった。
(民生さんと松本さんが表紙のBRIDGEは今でも家宝の様に取ってある)
初めて買ってもらったCDは「30」
初めて自分のお金で買ったCDは「イージュー★ライダー」
初めて行ったLIVEは「股旅ふたたびツアー」
ただ、僕の小学生~中学生時代はTKサウンド・SPEED・ヴィジュアル系人気まっただ中。
好きなアーティストが奥田民生というだけで、全く盛り上がらないというジレンマにさいなまれていた。(これは阪神が好きという事と一緒だったのだけど、今思うとこういう事に一種の優越感も感じていたのかもしれない)
今もロックが大好きでいれた事は、初めて好きになったのが民生さんだというのが一番大きい気がする。
ビートルズやツェッペリンが脈々と流れる民生サウンド。
こういうのがロックンロールだと知らず知らずのうちに認識できたのは本当に幸運な事だと思う。(ちなみにロックというものをしっかり認識するのは高校の時なのだけど・・・それはまた別の機会に)
そんな民生さんが地元広島市民球場で引き語りのLIVEをやると聞き、矢も盾もたまらず北海道から行ったのが2004年。
友人と二人行ったそのLIVEは、筆舌にしがたい位素晴らしいLIVEで、その日の日記に僕はこう記している。
~これに行く前、僕はひとり股旅で「すばらしい日々」を聞けたら、もうこの世に思い残す事は無い、と思っていた。
でも、今回実際これを見て思った事は、180度違った。
僕も自分以外の誰かに、これだけの感動を与えたい。
これを見たからには、そう思わざるを得ない。
民生はこの日のMCでこう言った。
「このライブを見て、ギターを始めてくれたら嬉しいです」
彼はいつだって、多くのファンを集団ではなく、一人の人間として接している。
見る喜びの後は、やる喜びを促す芸術。
どんな芸術だって、これにかないやしない。
僕の場合はギターでは無いけれど、僕の作るもので誰かを幸せにしたい。
そう決心した素晴らしい夜だった。~
今読み返すととても青臭い文章だけど、襟を正される文章だ。
民生さんは「自分の歌詞に意味はない」「意味のある歌詞は自分で書いててもあまり好きじゃない(メリハリ鳥という珍しくメッセージのある歌を受けて)」と言うけれど。
でも本質を最短距離でつくその言葉に僕はずっと影響されて来たのだ。
「花火のどこが面白いんだろう/星は多分そう言うなあ」(アーリーサマー)
「いじめっ子には言ってやりな/そればっかりはやってられないよ」(息子)
(この曲のすごい所はサビ前はちっちゃい「っ」が多いのだけど、サビ後は一言も出てこないんですよね、それもリズムというか、韻を踏んでいる所だと思います)
「軽く笑えるユーモアを/うまくやりぬくかしこさを」(イージュー★ライダー)
そう、軽く笑えるユーモアを、僕はずっと追い求めている気がする。
そして今年、僕がずっとバンドブームを見てきた世代に民生を好きというと「ユニコーンを見ていないなんて・・・」と言われ続け、軽くコンプレックスを感じていたユニコーンが再結成した。
もう、びっくりするくらい最高だった。
いや、たぶん最高だったのだ、だって解散前のユニコーンを見ている人ですら、「解散前より良い」って言っていたのだから。
そしてこのLIVEで僕が世界でいちばん好きな歌「すばらしい日々」をユニコーンとして聞くことができた。(もっといえば川西さんのドラムで聞くことができた)
「君は僕を忘れるから/その頃にはすぐに君に会いに行ける」
バンドブームの喧騒を抜けるための、悲しい総括として受け取られていたこの曲が、ユニコーン復活の歌としてこんなに強く響くなんて。
ジャイアンナイトのハイライトとして流れたこの曲を聞きながら、そんな事を感じた。

































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